平和の象徴


人慣れしているのか、近くに羽ばたいてきたので驚きました。

白い鳩を見かけるとなんだかラッキーなことがありそうで嬉しくなります。

「平和」や「幸運」の象徴である白い鳩

その由来は、ユダヤ教やキリスト教の正典である旧約聖書の創世記『ノアの方舟』の物語とされています。

この物語では、堕落した人間に神は怒り、大洪水を起こして滅ぼしてしまおうと考えます。

アダムから数えて10代目の子孫、「神に従う無垢な人」であったノアに神はこのことを告げ、方舟をつくるよう命じ、ノアは大洪水から逃れるために地上のすべての生き物の番(つがい)を連れて方舟へと乗り込み大洪水を脱しました。

数日後、乾いた大地を探すため一羽の白い鳩を放つと、鳩はオリーブの若葉をくわえてノアのもとに戻ってきます。

それは、世界のどこかに木が育つ土地があるということを示していました。

そうしてノアは神の罰である大洪水が終わり、再び平和が訪れたことを知ります。

このエピソードによって、キリスト教圏の国を中心に、白い鳩とオリーブの組み合わせは神と人間の和解のシンボル、平和の象徴とされてきました。

また、キリスト教絵画に登場する白い鳩は「聖霊」と呼ばれ、宗教上の重要な役割を担い、カトリック美術においては聖書のあらゆる重要な場面でも頻繁に登場します。

平和の象徴のイメージを世界中に広めたのはピカソ

白い鳩が平和の象徴として世界中に知れ渡るようになったのは、スペインの画家パブロ・ピカソの影響であるとされています。

1949年にパリで開催された国際平和会議のポスターに、ピカソは白い鳩を描きました。

そのポスターが有名になり、鳩は平和の使者というメッセージが、日本をはじめとする世界中に浸透したといわれています。

ピカソは幼少期から鳩が大好きで、アトリエでも飼っていたことがあり、娘にもスペイン語で鳩を意味する「パロマ」という名前をつけています。

ポスター以外にも、オリーブをくわえた鳩など、多くの作品を残しました。

鳩と人の暮らし

ちなみに、野生の白い鳩を見つけたからといって捕獲してはいけません。

日本において鳩は鳥獣保護管理法で保護されており、許可なく駆除や捕獲を行うことは禁止されています。

でも、ペットショップなら購入することができるので、もし鳩を飼育したい場合はペットショップでお迎えしましょう。

また、白い鳩には神聖なイメージが強いですが、現在では街で見かける野生の鳩は「害鳥」としての被害が問題視されるようになってきました。

鳩の糞が自動車や建物等を汚したり、その糞からクリプトコッカス症やトキソプラズマ症などの有害な菌や原虫を伝播する危険があり、警戒されています。

最近では鳩対策の商品も多く販売されていますね。

鳩は糞をすることができたところは安全な場所であると認識する動物で、強い帰巣本能があるため、ベランダなどに侵入を許してしまうと、何度追い払っても鳩がいなくなることはありません。

たった一回の侵入を食い止められるかどうかで、鳩トラブルに巻き込まれるかが決まることを忘れないようにしましょう。

害鳥に対しての一番の対策は、「鳥が住みつく前に寄せつけない」ということです。

さて、平和の象徴とされる一方で、害鳥として眉をひそめられる存在という側面もありますが、鳩は、古代からその帰巣本能を活かし伝書鳩として情報を伝える仕事をしたりと、人々の生活に役立つ存在でした。

鳩の習性を考慮しなかった建築や都市計画、無配慮なエサやりなど、人間が無意識にやっていることが繁殖を促す結果になっていることもあります。

人間側もそれを理解して共存の道を模索することが必要ですね。

それでは、また次の更新をお楽しみに。


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