暖簾をくぐって


谷町六丁目にある蕎麦処。

昭和初期に造られた石造りの入口の暖簾をくぐると、レトロな雰囲気が広がっていました。

蕎麦の栄養

蕎麦は栄養価が高いと言われますが、その理由は、栄養豊富な部分である胚芽や甘皮を精製せずそのまま挽いてそば粉となるため。

米や小麦は、外側にある胚芽部分を取り除くことで長期保存出来るようにしたり、味の良さや見た目の白さを追求したりするために意図的に胚芽を除いた精製が行われます。

蕎麦は胚芽部分が実の中心部にあるため取り除くことが難しく、胚芽や甘皮も含まれた状態でまるごと挽いて粉になります。

胚芽にはビタミンやミネラル、甘皮には良質なたんぱく質や蕎麦が身体に良いと言われる由縁となる栄養素が詰まっています。

肝機能を補助する「コリン」

コリンは、ビタミンの働きを助け補助的な働きをするビタミン様物質属です。脂質の代謝やコレステロール値の抑制に効果を発揮し、高血圧予防に効果的です。

肝臓の機能を強化して肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ働きをします。腎臓の働きを助ける効果もあるため、この相乗効果でお酒を飲む方にもおすすめです。蕎麦を食べる際にはお酒も欠かせないという人もいらっしゃいますが、理にかなった相性の良い組み合わせです。

また、コリンは脳の活性化に役立つため、記憶力の低下やアルツハイマー型認知症にも効果的と言われています。

ビタミンB1

糖質をエネルギーに換えるときになくてはならないビタミンです。疲労回復を促し、精神的なイライラも鎮めてくれる作用や食欲不振の緩和にも役立ちます。不足すると脚気(かっけ)になることで知られています。ネギと一緒に食べるとビタミンB1の吸収が促されるので蕎麦の薬味におすすめです。

ビタミンB2

糖質やたんぱく質、特に脂質をエネルギーに換える働きを助けます。また、成長を促すビタミンとも言われており、健康な皮ふや粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。

ダイエットに適している

しばしばダイエットの天敵のように扱われる炭水化物ですが、蕎麦は紛れもない炭水化物。低カロリーのイメージもありますが他の主食と比べてもそれほど大きな差はありません。

そんな蕎麦がダイエットに有効である根拠は低GI食品という特性にあります。

GIとは、「Glycemic Index(グリセミック・インデックス)」の略、食後の血糖値の上がりやすさを示した指標です。

GI値が高い食品ほど急激に血糖値を上げ、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇は緩やかになります。GI値が低い食品は肥満や糖尿病のリスクを軽減すると言われています。

GI値70以上の食べ物は高GI食品、GI値60以下がダイエットに有効とされています。

蕎麦は主食の中でもGI値が低いです。

わたしたちが普段食べている主食はGI値が高めの傾向にあるので、主食を蕎麦に置き換えれば血糖値の上昇が緩やかになり太りにくい状況を作ってくれます。

急に血糖値が上がると、身体の中ではインスリンというホルモンがたくさん分泌されて血糖値を下げようとします。このインスリンには血中の糖分を脂肪に換えて体にため込む働きがあります。

血糖値が緩やかに上昇するのであれば問題ありませんが、急激に上昇するとインスリンは過剰に分泌されてしまい体に脂肪をため込みやすくなるので、これが太る要因になると言われます。

インスリンは体の各組織にエネルギーとなる糖分を速やかに届ける大切な働きを担っています。あくまで過剰に分泌されることが良くないのであって、大切なのは血糖値を急激に上げないようにすることです。

わかります。ずっと蕎麦ばかり食べていられません。炊きたての白ご飯やパンの焼き上がる香りも至福ですよね。

無理なく続けられるダイエットというのは、食事の楽しみを日常から奪うものではないはずです。他の主食が悪者というわけではありません。

血糖値の上昇はGI値だけではなく食べ方も関係しているので、食べ方の工夫をすれば、高GI食品のデメリットである血糖値の急上昇を防ぐことができます。

食事にかける時間や噛む回数、食べる順番を工夫してみましょう。

食物繊維の多い野菜、海藻、きのこ類から先に食べること、また、よく噛んでゆっくり食べることは糖の吸収を緩やかにします。腹持ちが良くなるため満腹感も長く続きます。

お酢のような酸味のあるものも血糖値と血圧上昇の抑制や内臓脂肪の減少といった効果が期待できます。副菜に酢の物や酸味のあるドレッシングをかけたサラダなどを組み合わせるのも良いです。

ダイエットを重視しているならば、食べる量に注意することも重要です。GI値の高い白米を一杯食べるのと、GI値の低い蕎麦を三杯食べるのとでは、当然ですが白米を一杯で終えるほうが太りにくいのだから。

ダイエット中は食べられないものが増えると思っていませんか。

日々の生活のなかでずっと高GI食品を避けて、低GI食品だけを食事に取り入れるのも難しいでしょう。「何を食べるか」より「何と組み合わせて食べるか」を意識し、食品を「抜く」よりも「選ぶ」ことで食事はもっと楽しく、豊かになるのではないでしょうか。

蕎麦には食物繊維も多い

白米のおよそ2〜3倍の食物繊維を誇り、便秘を緩和し、腸内環境を整えることでお肌の調子も良くします。

食物繊維は有害物質を吸着させて便と一緒に体の外へ出す働きがあり、大腸がんなど重大な病気のリスクを減らしてくれます。

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、蕎麦には不溶性食物繊維が多く含まれています。

山芋、海苔やわかめなどの海藻類には水溶性食物繊維が多く含まれているので、山かけ蕎麦にしたり、蕎麦の薬味や付け合わせとして一緒に食べるとよりバランスが良くなります。

そばアレルギー

現在は、蕎麦が強いアレルギーを起こすことがあるのを多くの方がご存じでしょう。

蕎麦は粉末状態にして加工されますが、蕎麦粉は飛散しやすく、口から食べるだけでなく鼻から吸い込むことでアレルギー症状が出る場合もあります。

他の食品よりも、微量でも、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす傾向が高く、注意が必要です。

食物アレルギーは子どもに多いのが特徴ですが、鶏卵、牛乳、小麦がアレルゲンとして乳幼児期にピークとなり、年齢を重ねるとともに食べられるようになって減っていくのに対して、蕎麦は年齢の低い子どもだけでなく、すべての年齢層にそばアレルギーの患者さまがみられます。

いったん発症すると、耐性を獲得できる可能性が低いとされています。

他の食材と同じ調理器具を使う、あるいは、工場の製造ラインが共通であることでアレルゲン食材が混入することがあります。これをコンタミネーションといいます。

うどんと蕎麦が同じ釜でゆでられている場合に、ゆでたお湯を介してうどんに蕎麦が混入する可能性があります。

このように、自分自身が食べないようにしていても、気づかずに体内に入ってしまう可能性もあるため、外食時にも注意が必要です。

完全無欠ではない

栄養価の高い蕎麦ですが、蕎麦だけを食べていれば良いというわけではありません。

ビタミンB群以外のビタミンはほとんど含まれていないため、蕎麦だけの食生活になるとビタミン不足で肌荒れを起こしたり、健康を損なう偏った食生活となる可能性があります。

蕎麦の他に野菜や肉、魚などを合わせて、バランス良く食べることが健康や美しさを保つことに繋がります。

それでは、また次の更新をお楽しみに。


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