

夜風がぐっと冷たくなってきましたね。
かぼちゃのランタンが街のあちこちで笑っていて、通りかかる人の表情もどこか楽しげです。
この「ジャック・オー・ランタン(Jack-o’-Lantern)」と呼ばれるかぼちゃをくり抜いた灯りには、おもしろい由来があります。
アイルランドの古い民話に登場する、「ジャック(Stingy Jack)」という男の物語です。
ジャックはずる賢い人物でした。
ある晩、悪魔がジャックの魂を取りにくると、彼は「最後にビールをおごってくれ」と頼みます。
それを聞き入れた悪魔が支払いのために硬貨に姿を変えた瞬間、ジャックは銀の十字架と一緒に財布に閉じ込めてしまいました。
困った悪魔は「お前の魂は取らない」と約束して逃げていきます。
それから年月が経ち、ジャックは年老いて死を迎えます。
しかし、悪事ばかりの人生だったため、天国には行けず、地獄へ向かうと、今度は悪魔に拒まれてしまいました。
真っ暗な夜をさまようことになったジャックは、「せめて道を照らす灯りを」と願い、悪魔から地獄の火をひとつだけもらいます。
ジャックはカブをくり抜いた器にその火を入れて、ランタンにして持ち歩いたのです。
こうして、ジャックはその灯りを手に、今もこの世とあの世の間をさまよい続けているといわれています。
それが———
“Jack of the Lantern(ランタンを持つジャック)”=Jack-o’-Lanternのはじまりです。
この伝承は、語る人の数だけ少しずつ違う姿をしている民話です。
ここでは、その中でもよく知られているあらすじをご紹介しました。
アイルランドではこの物語をもとに、カブをくり抜いたランタンを作り、悪霊を追い払うお守りとして家の前に置く風習が生まれました。
やがてアメリカに伝わると、カブの代わりに手に入りやすいかぼちゃが使われるようになり、オレンジ色のジャック・オー・ランタンが広まっていきます。
毎年見かけるハロウィンの光景。
最初はカブのランタンだったなんてびっくりですが、かぼちゃのほうがやわらかくてくり抜きやすそうですね!
夜の冷え込みが増すこの時期は、風邪をひきやすくなる季節でもあります。
お出かけの際はあたたかくして、帰ったらうがい、手洗いをお忘れなく。
それでは、また次の更新をお楽しみに。






