

傘を、よく忘れます。
お気に入りの傘だから、愛着があるから大丈夫、なんて自信は、雨が上がると一緒に消えてしまいます。
そして後日、置き去りになった傘を迎えに行きます。
忘れたくない気持ちと、実際に忘れてしまう現実は、どうも一致しないようで。
誰かのやさしさで何事もなく戻ってくるありがたさを感じながらも、うっかり忘れるたびに、お気に入りのものであるのに、大切なものを大切にできない自分に、がっかりして気持ちが沈んでしまいます。
あるとき、それを笑い話にしたら、聞いていた人が「たくさん旅をしてきた傘だね」と微笑んでくれました。
素敵な受け取り方に、その言葉に、心が少し晴れました。
雨の日は今も、そのときのあたたかな言葉と、ほっとする気持ちを思い出します。
この旅慣れた傘を、ずっと大切に使っていきたいものです。
そんな今日は、朝から雨模様。
午後からは青空が戻るそうなので、お帰りの際は、傘の置き忘れにご注意ください。
それでは、また次の更新をお楽しみに。