星と想いの詰まった玉


花火大会のはじまり

それは、江戸時代。

隅田川で開催された水神祭がはじまりだと言われています。

今から遡ること約300年前、大飢饉や疫病の流行によって大勢の人が亡くなりました。

当時の人々はこのような災厄は悪霊の仕業とも考えており、犠牲者の慰霊と悪霊退散を祈願して水神祭を催し、花火を打ち上げたことが、現在の花火大会の起源とされています。

刹那的な美しさ

日本の打ち上げ花火は、世界で最も精巧で美しいものとして全世界から絶賛されています。

花火の玉には、花火を開くための火薬と、色の光を放つ「星(ほし)」と呼ばれる火薬が詰められており、この星に含まれる金属の炎色反応によって花火はさまざまな色を彩ります。

打ち上げられた花火が空中で開き、星が燃えながら飛び散ることで夜空に瞬く花火となるのです。

星は、たった2~3秒で燃え尽きてしまうのですが、そのわずかな瞬間の色や形、繊細な光の変化を味わうのが、日本の打ち上げ花火の醍醐味ですね。

夏になると毎週のように各地で開かれる花火大会。

世界中で花火は楽しまれていますが、海外では新年を迎えるときや記念日に華を添えるためのものという位置づけであることが多く、日本のように打ち上げ花火そのものを楽しむという文化はめずらしいようです。

また、海外では基本的に単色の花火で、しだれ柳のようなものや、噴水のような形が主流です。

球形に広がる花火は、日本独自の技術で、これが日本の花火が世界一と言われる理由のひとつになっています。

花火の玉に寸分の狂いもないよう星を並べる花火師の職人技。

演出の仕方や尺玉のデザインなど、自分好みの花火師が参加する花火大会に足を運ぶという人もいます。

球形以外にも、ハートや土星、蝶々などの絵を描くような花火もあり、今も進化を重ね、新しいものが生み出され続けています。

色とりどりの光の源となる火薬が「星」と呼ばれるのも、打ち上がった花火が「咲く」と表現されるのも、とても情緒の溢れる言葉だと思いませんか。

打ち上がる花火の種類を調べてみるだけでも「菊」や「牡丹」や「万華鏡」など、これまで何度も目にしたことのある形に、ひとつひとつ素敵な呼び名があることがわかったり、ほんの少し詳しく知るだけで、花火大会の楽しみ方がもっと拡がるかもしれません。

皆さまは、どんな花火を、何処で、誰と見ているのでしょうか。

それでは、また次の更新をお楽しみに。


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