こんにちは。
第2回社内勉強会を行いました。
「婦人科に行くのはハードルが高い」と思ってる女性が多いかな(私もそうでした)と思い婦人科疾患を取り上げました。
まず生理とは何かを説明します。
生理は不要となった子宮内膜の排出です。約1ヶ月に1回、卵巣から卵子を排出する排卵が起こります。排卵に合わせて、子宮内膜を厚くして受精卵を待ちます。卵子が受精しなかった場合は、準備した子宮内膜が要らなくなり、剥がれて体外へ排出されます。これが生理です。
生理のリズムには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の主に2つのホルモンが関与しています。
卵胞ホルモンは生理後から排卵まで分泌が多くなります。卵胞ホルモンがたくさん分泌させることによって、子宮内膜が厚くなります。
黄体ホルモンは排卵後から生理まで分泌が多くなります。黄体ホルモンがたくさん分泌されることにより、子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整える働きがあります。
次に月経困難症について説明します。
月経困難症は生理開始後2〜3日の間に非常に強い下腹部痛が生じるのが特徴です。最も痛みが強くなるのは月経開始から24時間とされていますが、痛みのピークや継続期間には個人差があります。
この月経困難症には病気が原因で痛みが生じる器質性月経困難症と原因となる病気がない機能性月経困難症があります。
器質性月経困難症は子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの病気が原因となります。これらは月経中以外にも痛みが生じることがあります。
機能性月経困難症は痛みの原因の一つである、プロスタグランジンの分泌が多すぎて子宮が収縮しすぎることや子宮の出口が狭いことが痛みの主な原因です。
月経困難症の治療薬について説明します。
月経困難症はピル、黄体ホルモン製剤の経口薬に加え、ミレーナという女性ホルモンを5年間持続的に放出・維持することができる薬剤除法システムで子宮内に装着して使用する器具があります。ミレーナは装着することにより、無月経または月経の減少が起こるため、月経困難症や月経過多の改善といった効果が期待できます。
ちなみにピルの中にはOCピルとLEPピルと2種類あります。OCピルとは避妊目的で保険適用にはなりません。
LEPピルは診断がついた場合に処方されるピルです。中身に関しては二つはそんなに変わりはありません。
器質性月経困難症の1つである子宮内膜症について説明します。
子宮内膜症とは子宮内膜を覆う「子宮内膜」に似た組織が、子宮の内腔以外の場所にできてしまう病気です。
子宮内膜症も通常の子宮内膜と同様に女性ホルモンの影響を受けて増殖し、月経の時には出血が起こりますが、その血液を外に出すことができないため、溜まった血液が逆流して炎症や周囲の組織との癒着を引き起こします。
特に卵巣の中に子宮内膜症ができて古い血液が溜まっていく状態を「卵巣チョコレート嚢胞」といいます。チョコレート嚢胞があると、頻度は少ないものの、「卵巣がん」が発生する可能性があるため、定期的なチェックが必要です。
子宮内膜症の主な自覚症状です。
年々ひどくなる月経痛、月経時に鎮痛剤を飲んでも効かない、吐き気やめまいがする、妊娠を希望して2年たつが妊娠しないなどです。
子宮内膜症の治療方針についてです。
子宮内膜症でもチョコレート嚢胞がある場合とない場合、妊娠を希望する場合と希望しない場合で治療方針が変わってきます。
子宮内膜症は主な治療薬として3つあります。
まずはピルです。ピルには28日周期で偽薬または休薬により意図的に出血させる周期投与と、長期間継続して実薬を服用する長期間連続投与があります。子宮内膜症の治療という観点からは、できるだけ出血の回数を減らした方が良い為、連足投与が可能なヤーズフレックス(MAX120日4日休薬)、ジェミーナ錠(77日服用7日休薬)をお勧めされています。
黄体ホルモン製剤には子宮内膜組織の増殖抑制する働きがあり、中でもディナゲストは排卵抑制作用があるため、子宮内膜症に対する治療効果が高く、LEPと共に第一選択役として使用されています。
GnRHアゴニストはエストロゲンの分泌を低下させ、まるで閉経状態にするお薬です。月に1度皮下注をするだけでディナゲスト錠と同等の効果があると言われています。ただ、エストロゲン分泌減少に伴い骨密度が低下するため、原則6カ月までの投与とされています。術前にチョコレート嚢胞を縮小させる目的で処方されることが多いです。
今回は月経困難症と器質性月経困難症の一つである子宮内膜症をテーマに選びました。
私自身が何年も重い生理痛に悩んでおり、2年前にやっと婦人科へ受診しました。その際、子宮内膜症と診断されました。
生理痛で悩んでる人の目に留まりますように。
長くなりましたが、以上とさせていただきます。
次回の勉強会を楽しみにお待ちください。
スタッフ・リーサ